父と「今ではない」娘

もらとりあむタマ子 (http://www.bitters.co.jp/tamako/)

久々の新宿武蔵野館にて鑑賞。
で、


普通って面白い。


そう思った。山下敦弘監督は、やっぱり明確な起承転結の有る物語よりも、こういう何も起きないけど人と人の関わりを描くほうが向いてるんだね。こういう何も起きない時の人と人の微妙な可笑しみみたいなモノが良く描けていて、とても面白かった。うん、面白かったよ。
しかし、この微妙な可笑しみってのが思いの外多い。というか、普通のカットでも終始ニヤニヤ、クスクスできる感じで良い。それでいて、最初の方の父親の行動が、最後の方の娘の行動と対比になっていたりして、ちゃんと映画として作り込まれている感じもする。巧い。
そして、主演の前田敦子が凄く良かった。適当にだらけていて、適当にダメで、適当にブスで、適当に捻くれている感じが凄く巧く表現できていて、巧い。正直、アイドルとしてはそれほどピンと来てなかった、というか、今も来てないんだけど(苦笑)、個性派の役者さんとしての才能は結構あるんじゃないかな? 少なくとも、山下監督の描く絶妙にリアルな人物像には凄く合っていると思った。
それと、父親役の康すおんという役者さんをちゃんと認識して見たのは初めてなんだけど、尾藤イサオにソックリだな(笑)。というのはどうでもよいとして…(苦笑)、この人、微妙なシーンの微妙な表情が凄く良いです。私が知らないだけで既に結構有名らしいのだけど、いや流石に巧い。

それ以外にも微妙なシーンの微妙な演技で、微妙なクスクス笑いが起きたりして、非常に楽しゅうございました。
昨今やたら長い映画が増えている中で78分と短めの映画ではあるけど、充分満足感を得られる面白い映画として、かなりオススメ。観るべし。