笑いは細部に宿る

モヒカン故郷に帰る (http://mohican-movie.jp/)

ユナイテッドシネマ豊洲にて鑑賞。
で、


やっぱり沖田修一監督は演出の天才だなぁ。


とか思った。
いや、ストーリーそのものは、割とよくあるハートウォーミングな御涙頂戴系ホームドラマ風なんだけど、細かいくすぐりや作り込みや(お得意の)間の演出で終始クスクス笑わせられたり、しんみりさせたりする快作になってた。やっぱり巧い。
たぶん、この映画を要約してあらすじを語っても「ああ、そういうの良くあるよね。知ってる知ってる」とか思われそうな話。けど、それを演出一つで「そいうの」じゃな無くしてしまう(?)テクニックはまあ凄い。
とはいえ、監督ばかりじゃなくてキャストも良かった。
松田龍平はまあ、ぼーっとしたバカっぷりは結構破壊力あるキャラクターで面白かった。この人の役の幅が広くてどの映画でも飽きさせない面白い役者さんだなぁ。で、前田敦子は「もらとりあむタマ子」のその後みたいなキャラクターで面白かった。てか、ほぼ同じ人じゃないの? と思うくらいなので、前田敦子本人がこういう人なのかとも思ってしまうのだけど、前にテレビのドキュメンタリーで見た時は全然ちがってたので、本人がこういう人なんじゃなくて、こういう演技が得意なんだろうね。柄本明もたいまさこは安定の巧さで安心して観られる。
で、登場人物全員が全員、微妙にズレてる感がある。このズレてる感が交わって、そこに微妙なおかしみが出てきたり泣かせる展開になったりして、まあ良い感じに面白い。ピザの件りなんか、もう最高に面白いもの。


それと、「横道世之介」の時にとあるシーンで「映画の神様が降りてきてる」と思ったんだけど、今回は主人公の永吉が吹奏楽部と絡むシーンでまた映画の神様が降りてきてた(笑)。インタビュ−記事を見たら、ほぼアドリブだったとかで、まあ意外性のある良いシーンになってる。これは必見。
まあ、沖田監督は映画の神様に愛されてるなぁ。


ともあれ、ホームドラマを馬鹿にしている人も楽しめるちょっと変わったホームドラマの傑作だと思うので絶賛オススメ中。


おまけ:
日本の映画関係者はつまらなくなりそうな映画の企画は全部沖田修一監督の所に持って行くと良いと思う。たぶん、何でもかんでも魔法の演出で面白くしてくれるんじゃないかな?(笑)