おばちゃんを見にいく(え?)

滝を見にいく (http://takimini.jp/)

新宿武蔵野館にて鑑賞。
で、


面白いけど、ちょっと期待程ではなかったかも。


という感じ。
確かに序盤から「あるある」的な話ありの、実はそれぞれ妙な才能がありの、という「南極料理人」でも観られたようなコネタの盛り込み方はそれなりに面白いんだけど、沖田修一監督の過去作に見られるような特徴的な「間の演出」は控えめ。この辺を期待して観に行った私にとっては、ちょっと肩透かしではあった。
大きな起伏の有るストーリーが無い、というのも有るんだけど、それを面白くするのが沖田監督的な部分なので、そこは重要じゃない。と言うか、沖田監督的な良さが今一つ発揮されていないから話の起伏が小さいのが気になる。という感じ。
と言うか、実際はちゃんと観ていくと、だんだんとそれぞれのキャラクターが立ってきたり、関係性が徐々に変わってきたりして、話としてはちゃんとしている。なので本当はもうちょっと面白く出来るんじゃないかな? と思ったんだけど、そこはちょっと難しかったのかも。
この映画の出演者は演劇系の人もいるんだけど、基本は素人&素人っぽい人を選んでキャスティングした所為か、演技的には微妙な感じ。でもそれはそれでリアルな「おばちゃん」では有るな、とは思った。
けど、そこで気付いたのは、沖田監督の過去作ってかなり演劇的だったんだな、という事。派手に騒いだり暴れたりという部分の少ない微妙な表現で感情や変化を表現する、かなりリアリズム側の作品ばかりだと思っていたんだけど、この映画を観てから考えると、あれはあれで芸達者な出演者による「リアリズムな演劇」の類だっんだな、と気付かされた感じ。そのくらい、この映画の方がガチのリアルな素人っぽい感じ。
前述の「間の演出」が通らなかったからそうなったのか、それともそう言う演出をしなかったからこうなったのかは判らんけど、過去作とは明確に違った印象が有った。


ともあれ、沖田修一監督のフィルモグラフィー的にはちょっと変わった一作となりそうな映画なので、過去作のファンだったら観ておくのも良いかも。そこそこオススメ。


P.S.
映画館の客席は妙におばちゃんが多くて、客の半数くらいはおばちゃんだった。何というか、スクリーンの中のおばちゃん達と客席が繋がっている様な妙な感じがして、それはそれで面白い体験ではありました。(笑)