彼と彼等とその後

横道世之介 (http://yonosuke-movie.com/)

ユナイテッドシネマ豊洲にて鑑賞。
で、


面白い!! もう大好き!!


いやいや(笑)。
ストーリー的には、お人好しで人懐っこくて誰の記憶にも残るアイツである「横道世之介」の学生時代の生活と彼の友人たちの青春と、その後という、有りがちなアレ。
で、普通だったら只の「良い話」で終わりそうな所なんだけど、そこを沖田修一監督が「南極料理人」や「キツツキと雨」で見せた「間」を巧みに使った演出と、説明台詞無しで全てを説明してしまう演出によって、静かなシーンでもクスクス笑いやジーンと来るのが止まらない。上映時間は3時間弱も有る長い映画なのだけど、この演出によって最後まで全く飽きさせないどころか「もう3時間経つのか?」と思わせる程。こんな印象を持たせる映画は間違いなく傑作だと思う。
で、さらに凄いのが映画中盤でラストを明かしてしまう部分が有って正直驚いたのだけど、それは予定調和的なラストに落とし込まずに最後まで後味良く、気分良く終わらせる為の演出だという印象。で、それはちゃんと成功している。これが出来るのは種明しした後でも観る人をちゃんと惹き付けられる演出力の賜物だと思う。素晴らしい。


で、出演者達も良かった。主人公の高良健吾も微妙にズレていたりやたら人に懐いたりじゃれたりする世之介を好演。そして何より吉高由里子さんが素晴らしく可愛い(笑)。それも吉高さんの魅力が炸裂してた「婚前特急」を凌駕するくらい。特にハンバーガーショップのシーンはとぼけたノリの世之介との兼合いもあって、素晴らしく魅力的に演じている。で、そのハンバーガーショップのシーンは終盤のあるシーンに繋がっているのだけど、そこもまた例の台詞無しの演出で彼女の心の中を表現していて、とても良かった。


劇中の台詞で「お前はアイツを知らないんだよな。俺はアイツを知ってるだけで、ちょっと得してる」*1というのが有ったんだけど、それはこの映画そのものにも言えて「俺はこの映画を観てるだけで、観てない人よりも、ちょっと得してる」という感じがする。その位良い映画だと思う。
南極料理人」「キツツキと雨」でクスクスできた人には大オススメ。この映画はもっとヒットしていい。

*1:厳密にはちょっと違うかもだけど大意は変わらず