少女と演劇と殺人と

少女たちの羅針盤 (http://www.rashinban-movie.com/)

ヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞。
ストーリーその他は公式サイトを参照の事。
で、予備知識ほぼゼロで観に行ったけど、とても良かった。


過去の殺人事件の真犯人は? 的なベタなサスペンス風味で始まるんだけど、同時に4年前のその殺人に至るまでの経過が描かれる。これが結構良さげな青春映画風味。そしてこれが結構良い。
成海璃子演じる行動的で直情的な少女にひっぱられて4人の劇団が立ち上がり、挫折や葛藤やらを経ながらちょっとした成功があったり…。という辺りは完全に青春映画。そして、その後の悲劇から現代のサスペンスのパートにキレイに繋がる。うん。かなり巧い作り。
見たところ、結構な低予算で作られた感じなのだけど、低予算な事を逆手に取ったように「肝心な部分を見せない」演出が随所にあって、これがまた巧い。
主演の少女たちも結構な熱演。特に、今まで知らない女優さんだったんだけど草刈麻有*1という女の子演技が凄かった。この子がある場面で見せるちょっとぞっとする表情に鳥肌が立った。ラストまで見ると、その表情もちゃんと意味があるのが判るんだけど、その辺りの表現も巧い。これは一見の価値はあるかも。
ストーリーの重要な部分である劇中劇も笑わせて最後に考えさせて終るような展開の良い芝居になってた。この芝居部分はフルバージョンで演じられたらしいので、そっちも観て見たい。*2
唯一難点を上げるとすれば(この難点が結構大きいのが残念なのだけど)殺人の動機がちょっと弱い。これで殺すかなぁという感じ。まあ、それは原作からしてそうなんだろうけど。
そうそう、ラストまで観ると、これは映像化が結構難しい種類の話だったのが判る。そういう部分も前述の肝心な部分を見せない演出で巧く乗り切ってた。*3


ともあれ、何故かメディアで全くと言っていいくらい話題になってないけど、これは結構良い映画なので、かなりオススメ。

*1:知らなかったけど草刈正雄の娘さんなのね。

*2:DVDの特典とかに入るんだろうか?

*3:多少反則も有るけど、そこは許せるレベル。