良い感じのコメディ

小川町セレナーデ (http://www.ogawacho.com/)

角川シネマ有楽町にて鑑賞。
で、


ズルイなぁ。面白いけど。


という感じ。
もう、安田顕がオカマを演ってるというだけで、すでに面白いに決まってる。というのは言い過ぎだけど、まあ面白くなるだろうなぁ。というのは想像できる。ズルイ。(笑)
しかし、全体的な演出も丁寧なら各出演者の演技も丁寧で、割と細かい所までちゃんとしている良い映画になってた。なのでヤスケンのオカマだけの映画では無い。
ちょっと例を挙げると、物語序盤の出産シーンの瞬間にそれまでモノクロだった映像がカラーに変わる。ちょっとした演出なのだけど、それだけでこの話が生まれた娘の物語であるというのが判る。巧い。
その後のストーリーも、娘の心情を余計な説明台詞無しで丁寧に描いていて、かなり好感が持てる。
いや、娘だけじゃなくて、大人達の心情も、ストレートに台詞には出さず、ちょっとズレた台詞を言わせているのだけど、それでも本当の気持ちがちゃんと判るように撮っている。巧い。
そういう細かい部分だけでなく、やっぱり物語のメインの部分であるところの(偽)オカマバーが開店するまでのシーケンスは笑いつつもアガるモノがって良い。こういうちょっとしたカタルシスがちゃんとエンターテイメントしてて、それもまた良い。
でもって、ラストの後日談的なシーンが凄く良かった。いろいろあったストーリーの終りに、ちょっとだけ笑いを鏤めてフィナーレというのが心地よかった。


で、ちょっとだけ難点を言うと、何かと反復させて同じようなシーンを繰り返す場面がいくつか見られて、そこだけはちょっと冗長で、早く続きを観たくなる感じがした。たぶん、意図しての事なのだろうけど、個人的にはもうちょっと刈り込んだ方がテンポ良く、気分良くラストまで突っ走れるような感じがした。


ともあれ、全体的に丁寧に作られた良い感じのハートフルコメディとして、結構オススメで御座います。