狭くて広い海

ダンケルク (http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk/)

ユナイテッド・シネマ豊洲にて通常盤を鑑賞。
で、


水、怖い。(汗)


いや本当に。
海を舞台にした戦争の描写は太平洋戦争を描いた日本映画でも結構あったけど、圧倒的にそれを凌駕する怖さだった。
でまあ、ダンケルクからイングランドまでわずか60kmあまりという近さにも関わらず、海によって阻まれるもどかしさがまた怖かった。


映画としては、撤退する歩兵達の1週間、ダンケルクまで歩兵を迎えに行く船の1日、撤退する船を守る為にダンケルクまで飛ぶ航空兵の1時間という、全く違った3つ時間軸を平行して描いて、最後に全ての時間軸が重なるという凝った作りにも関わらず、それを自然に見せる演出が巧かった。というか、3つの時間軸を同時進行させるのはエンターテインメント的に仕上げる為の方便だったのかもしれないけど、結果的にはそれが凄く上手くいっている。場面が変わる度にどの時間軸かの説明は無いけど、ちゃんとどの時間軸なのかが直ぐ判るし、転換する場面もそれとなく繋がりが有る事がちゃんと分かったりして面白かった。
で、この映画、戦争映画というよりパニック映画というかディザスタームービーの趣が強い。これもたぶん意図的なんだろうけど、敵対しているドイツ側の人が全く顔を見せないので、戦争というより事故か何かの大災害から逃げる話っぽくなってて、それはそれで面白かった。


ただ、ちょっと気になったのは、ダンケルク撤退戦という40万人の兵士が脱出した大作戦なのだけど、この映画で描かれているのが、ほんの一面どころか作戦全体のはじっこのはじっこ位の小さな一局面の話に限定されている事。もちろん意図的にそうしているのだろうけど、観ている方としては大作戦の割にはチマチマした小さな話に見えちゃう部分が結構ある。ぶっちゃけ大作戦に見える部分はあまりなくて作戦の規模は司令官の台詞に任せてるという感じがしてしまった。


ともあれ、連合国側にとっては撤退戦という基本「負け戦」の話なのでこれまであまり映像化されていなかった戦いなので、その面ではかなり興味深い映画だと思う。というか、単純に面白いのでかなりオススメ。