博士の愛した数式(http://hakase-movie.com/)

テアトル池袋で鑑賞。
テアトル池袋という劇場は以前はガリンペイロ館と称して新人監督の作品を重点的に公開する小さな劇場だったのだが、いつからか普通の映画館になってた。とはいえ、建物が変わる訳ではないので客席が少ないのは変わらない。
で、その客席は満席。立ち見も出た。この劇場は何回も来てるのに、満席の状態を見たのは初めてだ。*1

で、肝心の内容。
良いよ。うん。実際にこの博士の症状が出たらこうキレイな話には纏まらないだろうけど。
毎朝繰り返される「君の足のサイズはいくつかね?」毎夕繰り返される「君には息子がいたのか」。
以前同じような症状の人の話を読んだ事*2が有るのだが、新しい記憶が蓄積されないという事は人格がある時点の状態で固定される事なのだそうだ。
だから、毎日全く同じやりとりを繰り返す。物語中で博士が目覚めた時に自分の記憶が80分しかもたない事を(自分が書いた)メモで気付いて嘆く場面があるのだが、これはおそらく事故から何年も毎朝のように繰り返された事なんだろうと思う。
そして独身で自分には子供が居ないのに、異状なくらいに子供等を可愛がり大事にしようとする。終盤にその本当の理由が示唆されるのだが、なるほど、そういう状態で人格が固定されてしまったのかと思うとなかな泣ける。そしてそれを決して結婚出来ない男の子供を産んだ家政婦の状況と奇妙にダブらせる。
おそらく原作がそうなんだろうけど、良く出来た話である。
ちょっと原作を読んでみたい。

以下余談:
成長して高校教師になった家政婦の息子を吉岡秀隆君が演じているのだが、この子供時代を演じている子供が「北の国から」の頃の吉岡君にそっくりである。よくこんな子供を見つけてきたもんだ。

*1:つまり、そーゆー映画ばかりやってたんである(苦笑)。

*2:たぶん養老孟司氏の本だったと思う。