例の事件

<PC遠隔操作事件>片山被告、4事件すべての関与認める (毎日新聞) - Yahoo!ニュース (http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140520-00000015-mai-soci)

えーと、とりえあず警察と検察の捜査手法やら人権云々については書きません。
権力が抑圧的で強権的なのは今に始まった事じゃないし、申し訳ないけど個人的に興味が無い。


で、まあ不謹慎だけど、この事件、ちょっと面白かった。
個人的には第二回公判がターニングポイントな気がする。
第二回公判については、江川紹子さんのレポートが非常に詳しくて判りやすい。

【PC遠隔操作事件】第2回公判傍聴メモ・最初の検察側証人は「ファイルスラック領域」を強調(江川 紹子) - 個人 - Yahoo!ニュース (http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20140311-00033448/)

ファイルスラック領域という言葉に馴染みがなくても*1、コンピュータの動作をある程度知っている人なら「ディスクのセクタ内の未使用領域に削除されたファイルの痕跡が残ってた」と言うとピンと来る筈。使ってないセクタを0とか1でクリアしても、ここは残るから。
被告がファイルスラックという言葉を知らなかったという発言はたぶん本当だと思う。だからこそ、そこに思い至らなかったのかもしれない。


たぶん、ここらへんで被告のプランに狂いが生じてる感じがする。
この時、被告は自分の使ってるPCでビルドされていたとしても、それは遠隔操作されていた可能性が有ると言っていたけど、これはちょっと苦し紛れの発言に聞こえた。
コンピュータのプログラム開発をやったことのある人なら分かると思うけど、遠隔操作で掲示板に書き込ませるのと、遠隔操作でプログラムを作成させるのでは、ちょっとレベルが違う。しかも、ファイルスラックに残ってる証跡からすると、VisualStudio の開発環境を使ってビルドしていたと思われる。この開発環境は画面を使用するプログラムなので、今現在PCの目の前にいる使用者に知られずに動かすのは相当難しいと思う。確かにリモートデスクトップという遠隔操作ソフトが Windows には標準で付いているけど、これで相手に知られずに操作するというのは相当難しい。
というか、PCの使用者に見つかるリスクと手間を考えると、リモートでプログラムを作る意味がない。面倒で危険なだけだし。


個人的にはこの時点でこれはかなり被告は不利になるな、と思った。
被告が「遠隔操作で自分のPCを使われて件のプログラムを作成された」と主張するのであれば、それは「自分の気づかぬうちにPCを乗っ取られていた」という事であって、それを証明すると「自分はPCを乗っ取られたのに気付かないマヌケである」という事を証明することなっちゃう。
今までの会見を見る限り相当にプライドが高く自信家な(と見える)被告に、その屈辱が耐えられるだろうか? とか思ってた。


このまま公判が進んだら有罪だろうなぁ。
と思ってたら、よせばいいのに保釈中の公判の時刻に警察や検察を挑発する「真犯人からのメール」。
「真犯人からのメール」では、被告のPCを乗っ取って件のプログラムを作ったと告白。
この辺で、陳腐な話になって来たと思ってしまった。


だって、真犯人がそんな事をする必要が全く無いもの。


本当に被告が無実で警察の誤認逮捕であったなら、真犯人がわざわざ捕まるリスクを冒してそういう事をする必要が無いと思う。むしろ無実の被告が有罪になった方が都合が良いし、警察をコケにしたいのであれば被告が完全に有罪になった後の方がインパクトは大きい。
被告が不利になってきたタイミングで助け舟を出す必要は全然無いと思う。


てか、この時点で相当追いつめられてたんだろうなぁ。(しみじみ)


被告の一番の敗因は職場で使ってるPCで件のソフトウェアを作ってしまった事かな? とか思ってる。
自宅で使ってる私物だったら、作成後にディスクを完全にフォーマットするという手も有ったと思うけど、仕事で使ってるとそうはいかないからね。


まあ、このまま有罪になったとしても、罪状としては威力業務妨害だけでしょ? 警察をおちょくったというのは有るけど、それだけじゃそうそう罪は重くならないと思う。
きっと、すぐ出てくるんだろうなぁ。


ともあれ、この事件、前半では警察をミスリードして誤認逮捕でメンツを潰し、後半では無実を信じる有識者のメンツを潰したんだから、まあ痛快ではあったね。(ええ、ゲスです、知ってます)


あ、この顛末、だれか小説にしないかな?(笑)

*1:私もだけど