江戸の街と絵と人と

百日紅〜Miss HOKUSAI〜 (http://sarusuberi-movie.com/index.html)

テアトル新宿にて鑑賞。
で、


しみじみ面白い。


と言う感じ。
ストーリー的には、原作の雑多な部分を削ぎ落として葛飾応為ことお栄と盲目の妹*1の話を中心に持ってきた感じ。なので、葛飾北斎こと鉄蔵を中心とした人間模様的な側面はちょっと少ない。そこは結構意見が分かれる部分ではあると思う。
けど、絵にかける情熱と妹を想う姉としてのお栄はちゃんと表現されているし、障碍を持った娘とどう接して良いのかに迷う父としての鉄蔵もちゃんと表現されていて、そこはそれちゃんと良質な映画として成立していたので、まあこれはこれで良しという感じ。
個人的には、江戸の、それも江戸の中心部からちょっと外れた庶民の町が描かれているのが楽しかった。特に吉原に続く土手の道の描写なんかは現代の現実の場所を思い出してニヤリとする感じはある。楽しい。
それと、良く見ていないと判らないくらいに微妙な江戸時代の人らしい生活の描写があったりするのも嬉しい。
ただ、そう言う細かい描写等よりもストーリー中心として観ていると退屈する人はいるかもしれんなぁ。という感じもする。
あくまで個人的な意見で全く通じないかも知れないけど、ちょっと一時期のフランス映画みたいに、綺麗で程良く退屈で程良く面白い映画という雰囲気も有るので、そういう人には高く評価される気もする。


と言う訳で、フランス映画が好きだったり江戸風俗に興味がある人には、割とオススメ。

*1:ちなみに実在は疑われる