クズを守って三千里?

藁の盾 (http://wwws.warnerbros.co.jp/waranotate/index.html)

微妙な地雷臭を感じつつユナイテッドシネマ豊洲にて鑑賞。
例によって原作は読んでいない。
ストーリーその他は公式サイトを見てもらう事にして…。


うーん、言わんとする事は判るけど…。


と言う感じ。
恐らく主題であるところの「どうしようもない人間のクズの命を守るべきか?」と言うのは、犯人役の藤原竜也の大熱演もあって非常に良く描けているのだけど、どうもそれを描く為の各登場人物の考え方や行動原理みたいなものが大沢たかお演じる主人公のSP以外はちゃんと描けていない感じがする。いや、主人公も行動原理は判るけど、細部の行動が意味不明っぽい事もあるな。
と言うか、犯人を警護する警官達や、10億の賞金を用意した財閥の大物も「なんでそんな事をするの?」と思ってしまう事をやりまくってて最期まで疑問符が消えなくて困ってしまった。
一例を挙げると、列車で犯人を護送中にある事象があって降りて歩き出すのだけど、正直何故歩きで移動を始めるのか、全く判らない。列車が再び動き出すまでじっと待つ方が結果的に早いだろうに、彼等は何故か歩き出す。判らん。
さらに、命を狙われている犯人もかなり意味不明な行動を取りがち。「死にたくないならそれはやらないよね?」とか「逆に死を覚悟してもそれはやらないよね?」とか「結局、動転して意味不明な事をする人だったのか?」と思う事が多過ぎ。
ただ、ここは褒めていいと思うんだけど、藤原竜也の犯人役は完全に狙い通りの凄まじいクズ野郎だった(笑)。もうこれは手放しで褒めていい。ここまで共感を呼ばない犯人役も珍しい「こいつだったら殺したいって思うよな〜」と思う位のクズを演じきってる。


アクションやストーリーはそこそこちゃんとしたエンターテイメント映画になってはいるので、正直登場人物達の行動にもうちょっと現実感が有れば、もっと面白かったような気がする。題材そのものは凄く良いので、ちょっと残念。


と言う訳で、あまりオススメはしないけど、前述の「どうしようもない人間のクズの命を守るべきか?」という主題を見たい人。多少後味が悪くても平気な人にはオススメ。かも。