りりこの冒険

ヘルタースケルター (http://hs-movie.com/index.html)

ユナイテッドシネマ豊洲にて鑑賞。
で、


悪い映画では無いのだけど、なんか共感できんなぁ。


という感じ。
前評判通り沢尻エリカをとても綺麗に撮ってはいるのだけど、なんかあまり魅力的に撮れていない、と言うか意図的に魅力的に撮っていないんじゃ無いかなぁ?
蜷川監督自身がこの「りりこ = 沢尻エリカ」というキャラクターを好きになれていないんじゃないかというのが、最後まで気になった。
個人的にも、死ぬまでメンテナンスが必要になるような体になってまで美しくなるという事に全く共感出来ない。てのは私が男性だからっつー話でもあるんだろうけど、女性でもここまで拘る人はそう居ない気もするんだよな。
劇中でも全身整形のりりこに対する存在として天然美女のこずえという人が出てくるのだけど、その、美しさにも芸能人としての立ち位置にも拘らない(そして自分達の様な人間はいずれ消費されて消えていくという)考え方の方に共感する。監督自身の真意と言うか理想もそちら側に有るような気がする。


主演の沢尻エリカは流石の当たり役という感じ。この人は演技力が有るのに整いすぎた顔立ちの所為でちょっと損をしている。という認識だったのだけど、この役は完全にキャラクターに合致する感じでとても良かった。けど、ここまでの当たり役だと後が大変だろうなぁ。という勝手な心配もしてしまう。決して役の幅が広がるような仕事では無いからね。*1
で、この映画で一番凄かったのはりりこのマネージャー役の寺島しのぶだと思う。自分が担当するタレントのりりこに、一種恋とも呼べそうなくらいの思い入れを持っていて、にもかかわらずりりこに振り回される自分に対する迷いもあったり、嫉妬や羨望もあったりと、とても複雑な内面を持っている役なのだけど、それを体当たりの大熱演でこなしている。この人が巧いのは皆知ってはいるのだけど、この映画でまた思い知らされた感じ。凄かった。
それと、この映画中で一つとても気になったのが、大森南朋演じる検事が要所々々でとてもわざとらしく演劇調のクサイ台詞を吐く部分。部下役の鈴木杏につっこませてクサイ台詞を中和しているつもりだったのかもしれないけど、それでもちょっとどうかと思うシーンが多かった。そこはちょっと残念。


個人的に主人公に共感は出来ない感じの映画ではあるけど、主演の沢尻エリカ寺島しのぶの大熱演も有って、わりと良い感じの映画にはなっているとは思う。そこそこオススメ。

*1:ヒース・レジャー化したらどうするんだろう? とまで思ってしまった。