現実と言う作品

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ (http://www.uplink.co.jp/exitthrough/)

シネマライズにて鑑賞。

面白い。

一応ドキュメンタリーという事になってるけど、それは大いに怪しい
前半は映像記録マニアのティエリー・グエッタがストリート・アートを記録していく様子が記録され、後半はティエリーが何故か自らアーティストになっていく様が描かれているドキュメンタリー。
なのだが、見終わった後の印象はちょっと違う。
ドキュメンタリーはドキュメンタリーなのだけど、これはバンクシー自らが『作り出した現実』なんじゃないかな?
ティエリーが『ミスター ・ブレインウォッシュ』としてアーティストになったのも事実なのだろうけど、その事実を作り出したのは他ならぬバンクシーなんじゃないかな?
いや、映画の中ではその辺の結論は出してない。けど、どうも『ミスター・ブレインウォッシュ』という媒体を使って、アート界、いや世の中全部を徹底して茶化している感じがする。悪い言い方をすると『馬鹿にしている』(笑)。

で、全てバンクシーの思い通りに 『現実』が作り出されたとしたら、それを記録した映像はドキュメンタリーと呼べるんだろうか?

なんて事を考えてしまった。
私の感触では、この映画の中で描かれている『現実』は全てバンクシーの『作品』なんじゃないかと思う。

ふむ。とりあえずストリート・アートに興味がある人は観ると良いです。それと、フェイク・フィクション、メタフィクションが好きな人も。オススメ。