真面目に空回る

あぜ道のダンディ (http://www.bitters.co.jp/azemichi/)

久々のテアトル新宿にて鑑賞。


これはアレだ、石井裕也的解釈によるホームドラマだ。
で、石井監督らしく、相変らず日常感と人物描写のリアルさが良くて、光石研扮する「いろいろ空回りするオッサン」を軸にしてそれなりに笑わせもすればホロリとさせる演出も巧いのだけど、どうも「川の底…」の時程の良さは感じられず。いや並以上には面白いんだけど。
と言うのも、笑いに繋がる演出に「照れ」が感じられる。いや笑いを照れてるのでは無くて、シリアスになってしまう場面に監督が照れて笑いの側に逃げてしまっている感じがするのね。喩えるなら後期の手塚治虫漫画でシリアスな場面なのに何故かスパイダーやヒョウタンツギが出てきて場面を腰砕けにしちゃう感じ。まあ、この映画の場合はその部分でそれなりに笑えてはいるので救われてるけど、そこだけは笑いに逃げなくても良かったんじゃないか? と思う部分もチラホラ見られた。
それと、娘役の女の子が光石研の娘としては美少女過ぎる*1…と思ったのだけど西田尚美の娘と考えれば、さほど間違ってないのかも…。*2


ともあれ、「騙されるな!! 石井裕也満島ひかりをかっさらっていった男だぞ!!」と思ってるような人は充分楽しめるでしょう。(逆説か!!)
いや、そういう人は石井監督作品の味を知ってるでしょうから、この映画の楽しみ方を知ってる筈。


ただし、映画本編内でそれなりの「答え」を用意されていないと「てゆーか、何が言いたいかわかんない」と言う人にはオススメ出来ない。
って言うか、そういう人はハリウッド超大作みたいな映画しか見れないだろうけど。

*1:今まで知らなかったけど吉永淳という娘なのね。

*2:私は西田尚美さんのファンですが何か?(笑)