南極の「間」

南極料理人 (http://nankyoku-ryori.com/)

テアトル新宿にて鑑賞。
一言。凄く良い!!
いや、本当に良い。わざわざ満員の先行上映を観に行って良かった。
全体的に淡々と南極での8人の生活が描かれているのだけど、ちゃんと笑わせてくれる所あり、じんわりさせてくれるところ有り、大きな事件も無いのに全く飽きさせない。素晴らしい。
試写時から「かもめ食堂」との比較する様な論評が多かったけど、これはよりずっとコント寄りというか、笑いに寄った作りになってて、「心地よい退屈」という感じは全くしない。むしろ説明を除外した間の芝居を使った笑いが多くて、シティボーイズラジカル・ガジベリビンバ・システムの芝居を思わせる様な感じすらする。そういえば、シティボーイズのきたろう氏もタイチョー役で出演してるし。いや、むしろきたろう氏と生瀬勝久氏の二人はコント風場面の要員だったのかも。大きめの笑いが起きる場面には必ずこの二人のどちらかが関わっている感じもする。(小さい笑いは全編を通して数多く起きる)
ただ、説明の多い芝居に慣れてる人にはちょっと退屈なのかも、という気もする。説明の少ない場面は笑いの部分だけではなくて、日常の描写でも極めて多い。だいたいタイトル通り料理と食事の場面が多いにも関わらず「美味しい」とか「不味い」というセリフは(たった一箇所を除いて)全くと言っていいほど無いし、登場人物の心情を表す様なセリフも殆ど無い、しかし料理の美味い不味いもちゃんと判るし、登場人物が何を思っているのかも判る。全編を通してこういう「言わなくても判る」演出が極めて多い。だから人によっては「凄く静かな映画」と捉えるかもしれないけど、観ている人の頭の中にちゃんと監督の意図するところが展開されて表現されている感じがする。セリフによって物語を作る映画が多い中で、これは結構凄い事なのかもしれない。(脚本にどう書かれていたのかについては、ちょっと興味が有る)
とにかく、これは観ておいて損は無い。大オススメ


ところで、テアトル新宿は「各回入替・全席指定」なのに、立ち見の客を入れてるのはどういうワケか?(笑)
いや、そのくらい混雑しているというのは分るんだけど(毎回満席っぽい)、何の為の全席指定なんだか(苦笑)。
というわけなので、混雑が気になる人は全国ロードショーが始まってからのほうが良いかも。