北野監督リセット

アキレスと亀 (http://www.office-kitano.co.jp/akiresu/)

銀座テアトルシネマにて鑑賞。
前作「監督・ばんざい!」の事があったので、ちょっと警戒して観たけど、今回はちゃんと映画になってた。よかった(苦笑)。
というか、前作は今までの監督 北野武の今までの評価とかブランドとかをぶち壊しにして一旦リセットする為の物だったんじゃないかと思えて来た。というくらい、この作品は北野監督の実質的なデビュー作(と私は思っている)*1の「3-4x10月」にテイストが似てる感じ。
主人公の真知寿が全編通じて人格が微妙に壊れていたりするので、後半だけを観てると殆どコントの様な場面が続く。けれど前半で幼少からそこに至るまでの経過を丁寧に描いているので、その行動にちゃんと理由付けが出来ていて、コントに説得力を持たせている。それと、要所々々で本当は才能があったんじゃないのか? と思わせるような演出がされてて、それが微妙な「救い」になってて巧い。というか、後半に出てくる大森南朋演じる画商がまあ酷くて(苦笑)、その画商のコロコロ変わる意見に一々左右されてたら、どんな芸術家も駄目になりそうだ(苦笑)。
それと、初期の北野作品に良く有った「原因から一気に結果に至って、その過程を見せない」という演出が復活してた。


やっぱり「3-4x10月」の頃の北野作品が好きな人むきじゃないかな?

*1:公式のデビュー作「その男、凶暴につき」は本来別の人が監督がやる筈だったのに急遽代役で監督になったとか、現場で監督の思い通りに撮れなかったとか、いろいろあったらしい…。