犬童一心から大島弓子へ

グーグーだって猫である (http://www.gou-gou.jp/index.html)

シネマライズにて鑑賞。
不思議な映画。
元々は大島弓子の同名のエッセイ漫画、なのだけど犬童一心監督はそれを大島弓子をモデルとした架空の漫画家小島麻子を主人公としたフィクションに仕立てている。
で、エッセイをフィクションに作り替えると大抵の場合、元々の作家のテイストというのは消えてしまうものなのだけど、これは素晴らしいくらいに大島作品だ。
前半部分こそ、猫と漫画家の生活を描いたエッセイ風なのだけど、劇中で描かれる漫画「八月に生まれる子供」のストーリーも麻子先生の病気とダブるようになっていたり、猫のサバが人間の女の子として表現されていたり、後半のストーリー全般はそれこそ過去の大島作品で繰り返し描かれてきた「生者と死者(とその中間点)」の物語になっている。
それもこれも、犬童監督が大島弓子の作風を完璧に理解している、というより大島作品を心底愛しているからのだな、きっと(過去にも「金髪の草原」を映画化している*1 )。
言い方を変えると、これは犬童監督から大島弓子へのラブレターだ。


タイトルから猫好きの人にオススメ、と言いたい所だけど、この映画は大島作品のファンの人にオススメだと思う。

*1:これも傑作なのでオススメ