林雄司的

「牛肉きどり」林雄司 著(isbn:4757301251)


読了。
面白い。
思い出してみると、「東京トイレマップ」の頃から林雄司氏の文章を読んでいたことになる。氏の名前も知らなかったが。その頃から今まで一貫して「自分の興味の赴くまま」に行動している。それはもう羨ましい程に。
氏がウェブマスターを務めるデイリーポータルZでもそれは貫かれている、その空気に吸い寄せられるように、「林雄司的」なライター達が集まってきている。同じようなコンセプトを持っていたウェブサイトであるところのExcite Bitがコネタのみになり企画モノは開店休業になったのとは対照的ににデイリーポータルZは絶好調といった感じである。違いは明白だった。デイリーポータルZには林雄司氏がいたが、Excite Bitにはいなかった。それだけである。
氏はまさに「インターネットが無ければ表に出る事のない人」だったと思う。どうでも良い事に拘ったり、ぐっと来たりするような感性を持った人というのは少数ではあるが、確実に存在する。しかしソレが世に出るのは、その人が他の分野(ミュージシャンとか漫画家とか)で有名になった後に「実はこういうのが好きで…」とカミングアウトして世に知られるような類の感性だった。たとえて言うなら大槻ケンヂ氏やみうらじゅん氏等がその典型と言える。普通だとこの手の感性は、「大人」になるまでに薄れてしまうのだが、氏はそれをずーっと続けていた。「継続は力なり」陳腐な言葉だが氏はこの言葉を体現している。そしてインターネットによって脚光を浴びて、この手の本を出版するまでにいたったんである。羨ましい。
氏が「インターネットが無ければ表に出る事のない人」なのは確かなのだが、インターネットが有る以上どこかで必ず表に出てくる人でもあると思う。某ホリエモンや某孫正義が「これからはネットで出てくる人達のお手伝い」なんて言わなくても、たぶんこういう人は世に出る運命なのだ。

私もデイリーポータルZのサイトはほぼ毎日見ている。氏の感性に引き寄せられた(としか思えない)ライター達の視点や文章はいつみても面白い。*1
正直に言うと、私は少し嫉妬しているのだと思う。私もそっち側にいたかったからだ。*2


余談ですが「今日のZくん」がずーっと更新されていなのが残念。去年の末から伝書鳩で未承認広告を送りっぱなしです。(笑)

*1:天然ではなくて、あえて狙っているライターもいるが、そういう人は全般的に評価が低い(と思う)。

*2:普通、こういう視点はミュージシャンや芸能人に憧れていた人のモノだと思うが、私はライターとか放送作家に対してその手の憧れを持っているんである。