ライブドアとフジサンケイ

えーと、結果としてライブドアが劣勢に立つだろうことは予想していましたけど、その内容は予想とかなり違いました。*1

個人的な予想だと、

ライブドアが役員を送り込む前に、現在ニッポン放送が所有しているフジサンケイグループ各社の株を買い戻して、ニッポン放送をグループから切り捨てる。そうすればライブドアは買収に成功しても手に入るのはラジオ局1つだけ。ライブドア当初の目的であるところの、フジサンケイグループの支配は成らなくなる。ニッポン放送はラジオ局としては優良企業だが、ライブドアの堀江氏のやりたい事とニッポン放送の業務はリンクするとは思えない。堀江氏としてはニッポン放送なんていらないだろうから、売却せざるを得ない状況になる。

と思ってました。外れました、すみません。*2
私が思っていたほどフジサンケイグループはドライでは無かったようです。


で、この後ライブドアはどう出るか?
大方の予想では、新株予約権発行を違法な増資として仮処分申請か訴訟を起こすと思われています。


個人的には堀江氏は好きではないのですが、一旦ここで引くことによって、男を上げて欲しいと思う。

日本には過去に、こんな例もある。

松竹が歌舞伎座を買収する時、最初は「江戸時代からの文化である歌舞伎を大阪者に渡すな」という東京の人々からの大反発を買った。松竹はそこで潔く手を引いた。その時、歌舞伎座は違約金として手付金の倍額を返そうとしたのだが、松竹は支払い済みの手付金だけしか受けとらなかった。
これを知った東京の人々は松竹を褒め称えた。しかし東京の識者達は「これで松竹は歌舞伎座を半分手に入れたも同然だ」と言ったそうだ。その言葉の通り、2年後また松竹が歌舞伎座を買収しようとしたのだが、今度は東京の人々も「あの男だったら歌舞伎座を任せても大丈夫だ」と歓迎したのだ。*3

良い話だと思う。
買収屋の堀江氏に聞かしてやりたい。


この際、一旦手を引いてライブドアは本業に戻った方が…と考えたところで思い出した。


ライブドアに本業なんて無かった。

*1:詳細は面倒なので、適当な記事を見てください。

*2:って私は誰に謝っているのだ?

*3:以前、藤井青銅氏の書いた本(たぶん「超日本史」)に出ていたエピソードで凄く好きな話なので覚えていたんである。

で、堀江氏

堀江氏は凄く頭が良くてドライなんだけど、世の中にはドライに考える事が苦手な「ウェット」な人が居るというのを理解してないんじゃないだろうか?*1
だから、「支配する」とか「既存のメディアを殺す」とか言ってしまうと、「会社は株主の物」とか、「テレビもいずれ死んで行くメディア」だと頭では十分解っている人でも反発はする。という事が理解できないのだろう。
人は理屈だけではなく、感情でも動く生き物なのだ。*2
反発されてから急に「業務提携したいだけ」とか「仲良くやっていきたい」とか言っても、もう遅い。チョークスリーパーで締め上げながら「これから仲良くしましょう」って言ったって誰も信じない。だって既に首絞めてるし。


で、仮に買収に成功したところで、ライブドアから派遣された役員に反発する部下だらけの中で仕事なんてできないだろう。
堀江氏だったら「イヤなら辞めてください」とか言いそうだけど、メディアはカネより人材で作る物だから、有能な奴が皆辞めてしまったら、メディアとして優れたコンテンツの創作はもう望めない。*3


…本気でフジサンケイグループを使って仕事をするつもりだったのだろうか?

*1:かく言う私もドライな側の人間かもしれない。「ニッポン放送切り捨て」なんて予想をしてしまうくらいだから。(苦笑)

*2:感情で反発する人が意外に多いというの事は、理論的な人ほどたくさん経験していると思うのだが、堀江氏にはそんな経験は無いのだろうか?

*3:いくら金を使ってもバカはバカな物しか作れない。