人魚姫の物語(?)

シェイプ・オブ・ウォーター (http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/)

シネ・リーブル池袋にて鑑賞。
で、


これは、ギレルモ・デル・トロ流の人魚姫の物語だ。


という感じ。
まあ実際には半魚人の話であって、元ネタとなる半魚人映画が有るのは知ってるんだけど、観終わった後の印象としては人魚姫っぽい印象が残る。
そして、凄く良い映画なのだけど、コレがアカデミー賞を獲ったのは、すごく意外だ。と言うか、この時代のこの時期でなければ獲れなかったんじゃなかろうか? というのも、#MeToo に端を発した騒動やら差別やらと言った「時代の空気」が醸成されなければ、コレはただの「半魚人映画」として忘れ去られる運命だったかもしれん。
それを象徴するシーンも結構有って、全てにおいて「良い人」は居ないし、全てにおいて「悪い人」も居ない辺りもまた象徴的。ストーリー全般において悪役として描かれるストリックランド氏も彼なりに「その時代の空気」に抗えずに居る描写も丁寧に描かれていて良かった。
それと、ちょっとネタバレ風味だけど、異種族恋愛物では滅多に描かれることのない性的な部分にもちゃんと触れている。(たぶんその為に) R15 という興行的には不利な要素になるにも関わらず、(たぶん相当な覚悟を持って)その辺りにしっかり踏み込んでいるのは、そこが監督の一番拘った部分なんじゃなかろうか?
で、異種族恋愛物でのお定まりの拒否から寛容から恋愛への描写は、殆ど無いのもまた然りで、「異種な存在同士での恋愛にそういうハードルを設定する方がおかしい」という明確なメッセージを感じる。


SF怪物物の様に見せかけたかなり本格派の恋愛映画だと思う。オススメ。