彼女がその真相を知らない物語

彼女がその名を知らない鳥たち (http://kanotori.com/)

ユナイテッド・シネマ豊洲にて鑑賞。
で、


思ってたより怖い映画だった。


と言っても、露骨なホラーという感じじゃなくて、人間の内面の怖さがじわじわ来るような映画。
もちろんミステリー風味も結構あって、素直に観てると結構「真相はいったい…」的な思考が結構出て来る。
しかし、それにしても、まあ誰にも共感出来ないというのは本当だった。(苦笑)
唯一「良い人」的な人として描かれていて、終始ヒロインに全てを尽くしている(阿部サダヲ演じる)陣治すら、ちょっと痛々しくて共感しづらい。というか、「こんな女捨ててしまえ」とか思ってしまった。


けど映画として良く出来てる。面白い。


ヒロイン、蒼井優演じる十和子は出だしからクレーマーとして登場し、どうしようもなく嫌なオンナであるにもかかわらず、時折凄く愛らしく見えてしまう瞬間が有る。この辺りは蒼井優の素晴らしいところ。
え、黒崎と水島という十和子にとって対になる二人を演じる竹野内豊松坂桃李もイケメンのイケメンらしい魅力的な部分と嫌な部分の表現が巧かった。
そして何より十和子に献身的に尽くす陣治の阿部サダヲがまあ素晴らしい。純真で優しくてどうしようもなく不器用な男の中に秘めた微かな狂気が見え隠れする演技が凄かった。


けどまあ、なんだ。真相とラストに関しては(ネタバレにつき略)という感じで、度肝を抜くようなアレでは無かった。けど、まあ切ないというかイタイというか、まあそんなお話になってますよ。(謎)
それと、タイトルになっている「鳥」については、ちゃんと説明されている訳では無いけど、まああのシーンのナニがアレの象徴的なソレなんだろうという感じ。(なんだそれ?)


ともあれ、ちょっとミステリー風味でイタくて切ないお話が好きに人にはかなりオススメ。あ、そうそう前述の役者さん達のファンだったりすると、かなりオススメ。