帰ってきた苦虫女(?)

アズミ・ハルコは行方不明 (http://azumiharuko.com)

ユナイテッドシネマ豊洲にて鑑賞。
で、


今年最強のガールズムービー。


という感じ。
内容的には一応の主人公「安曇春子」の失踪前と、失踪後を並行して同時進行的に描くのだけど、その失踪前、失踪後の中でも時系列をシャッフルさせるという中々凝った作りの映画。で、そのシャッフルさせた中では、無差別に男性を襲撃する女子高生集団、20歳で町中にグラフィティをペイントしまくる女性、どーしよーもない会社でOLをやってるアラサーの女性、という3つの世代の女性が交錯する、さらに凝った作りになってたりする。
観てると時系列を整理するのに結構頭を使うのだけど、それが割と不快じゃなくて、物語に没入させる効果が有ってかなり面白かった。


で、まあ、なんというか、道を歩いても買い物に行っても否応無しに同級生に会ってしまう「地方都市から出ていけなかった人達」の閉塞とか鬱屈とか恋愛とか結婚とか、ちょっとダウナーなエネルギーが凄い感じ。でもって、それをブチ壊す女子高生軍団(?)のパワーが凄い。
生まれも育ちも東京だったりすると共感し辛い面が無いではないけど「ああ、そうか地方都市で生まれてそこから抜け出さなかった人はこういう事なのか…」とか、ちょっと感じる部分は相当有って、これはちょっと興味深かった。
ぶっちゃけ、グラフィティも男性を襲撃する事も犯罪だったりするので共感はできなかったのだけど、まあ閉塞感をブチ壊す為のツールみたいな感じだった。


主演の蒼井優はなんとなく「百万円と苦虫女」の主人公が何者にもならずに地元に帰ってきてなんとなくOLになっちゃったみたいな感じで、件の映画が好きだった私からすると、ちょっと懐かしくて面白かった。で、もう一人の主演とも言える高畑充希出世作の「とと姉ちゃん」とは全く違った、ちょっと思慮の浅い感じの20歳のギャルを楽しそうに演じてて良かった。ただ、NHKでしか彼女を知らない人は結構面食らうかも。(苦笑)


ともあれ、ぶっちゃけて言うと私のような中年男向けの映画ではないのかもしれないけど、私個人は非常に楽しく観れた。なので、この映画は10代〜30代位の女性、それも地方都市で生まれ育った人にとっては、私なんかよりもずっと来るモノが有ると思う。この映画はもうちょっと話題になっていい。オススメ。