駆込み女と駆出し男の掘り出し映画

駆込み女と駆出し男 (http://kakekomi-movie.jp/)

ユナイテッドシネマ豊洲にて鑑賞。
で、


ちょっとした掘り出し物だった。


と言う感じ。
いや、ぶっちゃけあまり期待していなかったのだけど、思いの外面白かったですよ。(コラコラ)
まず、大泉洋が巧い。特に一たび本気で喋り出した時の口上の凄さは特筆モノ。この人は本当に器用で巧い役者さんになっちゃったんだなぁ。と言う感じ。もし、フランキー堺主演の「幕末太陽傳」がリメイクされる様な事が有ったら主演の居残り平次の役は大泉洋なんじゃないかとまで思った。
でもって、戸田恵梨香がキュート。最初は朴訥であまり理知的とは言えない鉄練り一筋の職人という感じだったのだけど、寺で教育を受けるにしたがって、どんどん理知的で魅力的で強い女性に成長する姿が、凄く良かった。それも、鉄練りの仕事で出来た顔の火膨れが治癒していく状態と重ねて、凄く分りやすく表現されていて良かった。
で、満島ひかりが凄く江戸。(笑)
ほんと、幕末の写真に出てくるような「江戸の女性」の風情がとてもリアル。で、満島ひかり演じるお吟の生き様も粋で江戸っぽくて良かった。最初こそ、東慶寺に駆込んだ理由がちょっと良く判らない感じなのだけど、終盤の種明かしで(以下略)。いや、粋だねぇ。(しみじみ)
と言うか、全般的に謎かけから種明かしとか、複線の使い方が丁寧で好感が持てる作りだった。
それと、駆込む女達や女達に逃げられた男達が微妙に精神的な成長や変化を生じているのに、大泉洋演じる主人公の信次郎が安定してしまって、あまり成長しないんだなぁ…と思ったら(以下略)。そう言う事か…。(謎)


ただし、風呂敷を広げすぎかなぁ。という感も有る。
東慶寺を潰そうとする町奉行の下りがちょっと中途半端だったり、花魁からの足抜けと身代わりの騒動もちょっと中途半端で、もうちょっと掘り下げても良いかも。あと、終盤にある人が改心するきっかけが、ちと説明不足だったり…。


ただ、そこまで入れてしまうと、ただでさえちょっと長めの尺がもっと長くなっちゃうから難しいのかもなぁ。


ともあれ、観ている最中に完全に映画の外の世界を忘れるくらい引込まれる傑作でございました。かなりオススメ。