現在と過去と親と子と男と女と人と人

カフェ・ド・フロール (http://www.finefilms.co.jp/cafe/)

ヒューマントラストシネマ有楽町にて鑑賞。
で、


私はヘンな映画を観た。


良い意味で。
事前情報では1969年のパリの話と現代のモントリオールの話が別に展開して…という部分だけしか知らなかったが、まあこんな話だとは思わなかっただよ。
まあなんだ、ストーリーに関して色々言うと、かなり悪い感じのネタバレになりそうなので、あまり細かく言えないのでちょっと難しいのだけど、まあ、色々と考えさせられる話では有った。
導入部は現代のパート。「主人公」の男が仕事で飛行機に乗ろうと空港を歩くシーンから、既にちょっと「仕掛け」が入ってる。で、1969年のパートに遷ると、そこにはダウン症の幼い男の子を一人で育てる母親。この時点で、ちょっと過去と現在が(決して融合せずに)混在している感じがする。でもって、その混在している感は細かいカットバックや音楽を繋げる事によって、あらゆるシーンに点在してて、観ているとちょっと不思議な感覚が味わえる。面白い。
で、その過去と現在が混在している理由が終盤で明らかになったりするんだけど、その部分は(以下省略)。
ちょっとどうかと思う感じもしないでは無いけど、ここはそういうリアリティ・ライン、もしくは全部アレ(?)でした的な話だと思えば、まあ許容範囲。と言うか、割と面白かった。
けど、そういう謎っぽい部分は物語の本題じゃない感じもする。
むしろ、親と子とか男と女とかそういう人間関係のどうしようも無い部分に本当の主題が有る感じ。
まあ、ラストは…ちょっと優等生感が有るシーンになってるので
「散々アレだったのにこういう素直なアレで良いのか?」(謎)
という違和感は無いでも無いのだけど、まあ…いいか。(笑)


しかし、それにしても過去のパートの息子役の男の子が素晴らしい。おそらく本当にダウン症の子なんだろうけど、ヴァネッサ・パラディ演じる母親と一緒の演技も、同じ障害を持つ女の子との演技も、そして一人の時の演技も、どれも素晴らしい。ちょっとダウン症の子供に対するイメージが変わるレベル。この子の演技を見れただけでも、この英顔を観た価値が有ったと思う。


という訳なので、ちょっと御都合主義的な気にならないのであれば、前述の通り息子役の子の演技が素晴らしいのと現代と過去が入り交じる不思議な感覚を味わえるので、割とオススメ。