そして、幕が上がる

幕が上がる (http://www.makuga-agaru.jp)

TOHOシネマズ日本橋にて鑑賞。
で、


期待してたのと一寸違ったけど、面白い。


正直、本広克行監督にあまり良いイメージは無かった。サマータイムマシン・ブルースは割と面白かったけど、それ以外の作品でも全体的にあざといと言うかわざとらしいと言うか、良くも悪くもテレビ的な悪ノリと御都合主義多めといったイメージ。
今回もあざとい部分が無いでは無い、というか結構気になる場所に有ったりするんだけど、まあ今までに比べると全体的に控えめ…かも。(苦笑)
まあ、細かいクスグリは面白いモノもあるけど、ちょっとクドいモノも無くは無い。*1


で、既に観た人のコメントでは「櫻の園(1990年版)」との類似性とか比較が語られる事が多かった。確かにどちらも幕が上がる話なのだけど、個人的には「少女たちの羅針盤」の前半部分を思い起こす感じ。
尤も、「羅針盤」の方はこの映画で吉岡先生が語る「天才」を思わせる少女達の話であるのに対して、この映画ではかなり徹底して普通の少女の話になっているので違うっちゃ違うのだけど、舞台を作り上げる為に悩んで奔走して…という描写にかなり近い物を感じる。対して、「櫻の園」は既に準備済みの舞台の幕が上がるかどうかの話なので、根本的に違う物という感じ。


さおり役で主演の百田夏菜子*2も良かったのだけど、何よりも吉岡先生役の黒木華がとても良かった。序盤で演劇部の生徒達に披露するちょっとした芝居の説得力が凄い。この映画の方向性を示す決定的なシーンなのだけど、そこであんな芝居をされたらそれだけで勝ったも同然という感じ。
で、この黒木華の演った吉岡先生の役は若手女優はみんな演りたがりそうに思える。ちょっと他の女優さんが演じたらどうだろう、とか思ってしまった。例えば、蒼井優宮崎あおい安藤サクラ満島ひかり、等々…。
あと、劇中で語られていないけど志賀廣太郎扮する教師も実は過去に演劇に関わっていた様な気がする。と言うか、そう言う雰囲気で作られている感じ。これもまた、ちょっと映画を良い感じにする効果が出ている。


ちょっとだけ難を言うと、序盤からモノローグが異常に多いのが気になる。けど、黒木華扮する吉岡先生が出てきて、演劇部に深くかかわってくる辺りから段々変わっていって、モノローグは有るんだけど、気にならない程度に抑えられてくる。と言うか、迷いが無くなってくれば来るほどモノローグは減っていくので、これもまた主人公が成長していってるという事を示唆するような感じで作られているのかも。


と言う訳で、「アイドル映画だから…」とか「本広克行だから…」とか思ってる人はとりあえず観てから語れば良いと思う。かなりオススメ。

*1:ウィンタータイムマシン・ブルースって何だ?(笑) それと、原作者の平田オリザがあんな形で登場するとは。(笑)

*2:実はももいろクローバーで名前と顔が一致するのは彼女だけだったりする(苦笑)。