親切

京都の市バスで足の不自由な女性を介助しようとして罵倒された運転士が気の毒だった件 - 榊 裕葵 (http://blogos.com/article/90162/)

この記事自体は「まあ、そういう人もいるよね」で終わってしまうのだけど、これに触発されて、ちょっと思い出した話。


地下鉄で通勤している時の事。ほぼ毎朝同じ時間の電車に乗っていたのだけど、これまたほぼ毎朝の様に視覚障害の女性が同じ電車に乗っていた。
その人はもう慣れた経路なのであろう、杖一本で満員の電車の決まった場所に乗り、決まった駅のホームで降り、決まったエスカレーターに乗り、決まった改札を抜け、当たり前のように階段を上って駅から出て行っていた。
たまたま降りる駅(というか乗換駅)が同じだったので、その様子を見ることが多かったのだけど、いつもはスムーズに移動しているその人の動きがぎこちなくなる時があった。
大抵の場合、それは彼女が視覚障害である事に気付いた「親切な人」が手を引いて案内しようとしている時だった。
いつも自分のタイミングで歩いて移動している彼女が、手を引かれて自分のタイミングで動けなくなると、とたんにギクシャクしてぎこちなくなる。そうすると手を引いている人(何故か大抵、中年の女性だった)は、さらに気を使って丁寧に案内しようとする。さらに動きはぎこちなくなる。
彼女は「大丈夫ですから」とか何とか言っていたみたいだけど、その親切な人は遠慮していると思ったのか、その手を放すことは殆ど無かった。
毎朝の様にその女性を見ている身としては「うん、たぶん親切な貴方よりも彼女の方がこのルートに詳しいぞ」とか思っていたのだけど、口を出すと親切な人に怒られそうなので、いつも黙っていた。


結論?
ん、まあ、親切って難しいね。
というだけの話。