世界を救う?

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! (http://www.worldsend-movie.jp)

シネ・リーブル池袋にて鑑賞。
ちなみに、町山智浩氏による解説動画は思う所あって観ていない。
で、


うーん、面白いといえば面白いのだけど…。


という感じ。
確かに40男が若い頃の(バカな)挑戦を為し遂げようと故郷のパブを当時のメンバーと巡る。という、ちょっとしょっぱい話と、いつのまにかゾンビというかゼイリブというか何か判らない奴らに町が占拠されていた。というSF的な話を強引に結びつけるアイデアは凄い。たぶんマトモな神経では思いつかない。(褒めてます)
さらに、その内容も所々くすぐりがあったり、メンバー5人のバックボーンやキャラを丁寧に描いていて好感も持てる。
そして、オープニングで Primal Scream の Loaded が流れると、けっこうアガる感じも良い。そして、その曲にちゃんと意味があって良くできている。
いや、何より話がちゃんと面白い。


けど、どうも引っかかる。


やっぱり、5人のリーダーであるゲイリー・キングの描写が凄く気になる。「迷惑だけど陽気で面白い奴」というのは判るんだけど「アルコール依存症ってそんなに甘くないぞ」という感じがずーっと頭を離れなかった。
日本では、大酒飲みの迷惑な人を酒仙的に持ち上げる文化があって、それがアルコール依存症の治療を遅らせたり、蔓延させたりという事が結構問題に成ってる感があるのだけど、イギリスでもそういう文化があるのかなぁ。とか思った。
私的には吾妻ひでお氏や鴨志田穰氏の著書などで壮絶なアルコール依存症の体験記などを読んだりしていたので、そこが気になってしょうがなかった。(それでも両氏の著書は現実よりはソフトに書かれていると思う)
勿論、この話自体は荒唐無稽なので、そういう現実の話をされても困るのは判るんだけど、気になるものは気になる。


それと、これは作品そのものよりも日本の配給会社の付けた邦題の所為だと思うのだけど、世界…救ってるの…かな?(苦笑)
ネタバレになるので、細かくは言えないけど、この映画は解釈によって何が最良だったか考えさせる部分が有るので、一概に「酔っぱらいが世界を救う!」という感じでは無い感じがする。
強いて言えば、主人公のゲイリー・キングは救われてるのか…なぁ? はっ!! これはアレか、所謂セカイ系か?! (んな訳ない…と思う)
それと、これも日本版のみのアレなんだけど、字幕監修に町山智浩氏が関わると、どうしても字幕の文字が増える傾向があるのね。時間的に読めない程多くはないのだけど、画面を見るのがちょっと疎かになりそうなくらい字幕の情報量が多い。正しい意味を伝えようと努力しているのは判るし、情報量の多さを歓迎する人が居るのも判るんだけど、映画だから私は画をちゃんと観たい。キック・アス2の時もせっかくのクロエ・グレース・モレッツのアップに長めの字幕を被せるというとても勿体ない事をしてたし。意味が伝わらない可能性を重く見ているのかもしれないけど、あともうちょっと少ない方が良いと思った。


ともあれ、まあ陽気で迷惑な大酒飲みを肯定的にとらえている人には結構オススメと言える、かも。
周囲に居るアルコール依存症の人に迷惑を被っている人は観ないほうが得策。たぶん腹が立って観ていられないと思う。(苦笑)