そして、さようなら

みなさん、さようなら (http://minasan-movie.com/)

ユナイテッドシネマ豊洲にて鑑賞。
で、


濱田岳凄い。でもって、良い映画だなぁ。


いや本当。
中村義洋監督作品と言うと、強い作家性はあまり無いのだけど、出来の良い原作を映画化するとキッチリとした良作を作るという印象がある。本作もその例に違わずキッチリとした面白い良作に仕上げていた。良かった。
濱田岳との相性も良いんだろう。この二人が組んだ映画ではハズレが無い感じ。
それにしても濱田岳が凄い。13歳から29歳くらいまでを一人で演じるってのも当然凄いのだけど、少年が団地の中だけで生きてく決意をしたり恋をしたり将来に悩んだりなんだりかんだりをずっと出ずっぱりで丁寧に演じている。この映画の主演は普通の映画3本分くらいの負荷がかかってるんじゃないかな?
しかし、濱田岳以外の人も、時代による変化や成長や衰えなんかを皆巧く表現していて、じわじわと寂れていく「団地」とリンクしていく辺りの演出も良かった。個人的には身近に団地がある生活をしてきたの*1で、寂れていく団地の描写はちょっと悲しい。けど、それもまた現実。
で、この映画は主演の濱田岳の一人称目線に近い描写が最初から最後までずっと続く。それは主人公以外の他者の説明不足になっている様にも見えるのだけど、実際には主人公が観ている景色と主人公の知らない団地の外を巧く表現していて、すんなり主人公の認識が理解できるようになってる。巧い。
さらに、主人公は何度となく団地の中の事を全て知りたいという描写があるのだけど、本当は主人公がまだ知らない「団地の外」を無意識に求めてるというのが判るようになってる。それもまた巧い。
強いて言えば、終盤のカタルシス部分に繋がるある展開は、ちょっとラストの為に取って付けたエピソードっぽい印象なのがちと気になる。けど、このエピソードが無いと主人公の本当のトラウマが…(省略)…なので必要だったのかも…。


ともあれ、良くできた映画なので、観て損は無いと思う。オススメ。

*1:ただし、団地に住んだ事は無い