野村萬斎の本物感

のぼうの城 (http://nobou-movie.jp/)

ユナイテッドシネマ豊洲にて鑑賞。
例によって原作は読んでいない。
で、


いや、面白い。野村萬斎凄い。


基本的には史実をベースにしてはいるけど、キャラ立てとして成田長親を基本でくのぼうだが人心掌握の天才として、石田三成を才能の無い軍事オタクの様に描き、この対照的な二人が対決するように描く事によって教科書だと数行で終わってしまうような戦を見事なエンターテイメントに仕上げている。
また、長親を「でくのぼう」と思いつつ助けずにいられない家臣達と、やっちゃいけない事をやりまくる三成を苦々しく見つめる大谷吉継も好対照に描かれていて、これもまた面白い。
そして何よりも、長親役の野村萬斎の演技が素晴らしい。暗愚のようでありながら人にはめっぽう好かれ、百姓にまで「のぼう」と呼ばれながらも笑っていられ、それでいて身分は高い自覚が有り、戦を通じて総大将として成長していく。というような非常に複雑な役を完璧に演じきっている。この映画の中で、この人だけは本当に本物に見える。素晴らしい。
逆に、甲斐姫役の榮倉奈々と酒巻靱負役の成宮寛貴の二人は、どっからどうみても現代人にしか見えなかった(苦笑)。しかし、それも野村萬斎の大熱演の前では大した問題じゃない印象。(笑)


ともあれ、老若男女が楽しめる良質なエンターテイメント映画なので、当然オススメ。