パンと北海道

しあわせのパン (http://shiawase-pan.asmik-ace.co.jp/)

ヒューマントラストシネマ有楽町にて鑑賞。
で、


割と「良いですよ」(謎)。


という感じ。
最近、日本映画の1ジャンルとして定着しつつある「食堂ファンタジー」というか「飲食店ファンタジー」の直系という感じなのだけど、ギリギリの所で現実側に寄せた作りになっている所に好感が持てる。
北海道にあるカフェ兼民宿の店にいろいろな人が訪れるという定番の形であっても、料理によるミラクルを起こして訪れた人達を幸せにする…という形の嘘は、無い。別に問題に具体的な解決を示す訳でも無く、ミラクルを起こす訳でも無く、ただパンや料理やコーヒーを出して、その人達に寄り添う、だけ。という辺りに制作側の「現実に寄せる」という意図が見られる。さらに、この手の食堂モノに良くある「この客の少ない店はどうやって経営を成り立たせてるの?」という部分についても、説明台詞無しで、ちょっとしたワンシーンで「ああ、コレで食っているのね」と判らせる演出が有って、巧い。
これだけでなく、全般的に不自然な説明っぽい台詞を可能な限り少なくしているのも良い。特に主人公二人は殆ど説明台詞を喋らない。北海道のこの地にカフェを開くまでいろいろ有った事が示唆されてはいるのだけど、具体的な事は殆ど語らない。これを説明不足と取る人も居るかも知れないけど、やっぱりコレも話をリアル側に寄せているという事なんじゃないかと思う。普通はそういう事ってペラペラしゃべらんもんね。


で、主人公の原田知世大泉洋の二人も良い。原田知世はCMで見せるようないつもの原田知世という感じで安心感があったのだけど、大泉洋がここまで抑えたキャラクターを自然に演じるのはちょっと意外な感じ。「探偵はBARにいる」と連続で観たらちょっと混乱するかも。


ともあれ、この手の食堂ファンタジー系映画の中では割と良くできている部類だと思う。オススメ。


にしても、パンが美味そう。コーヒーが美味そう。カボチャのポタージュが美味そう(笑)。やっぱり食い物が美味そうじゃなきゃこの手の映画は駄目だよな。


余談:
上映直前に派手なシャツの元総理が派手な奥さん(笑)と劇場に入ってきたのはちょっと驚いた。そう言えば、この人の元々の選挙区って北海道だったな。劇場の外にSPが待機してるかと思ってたけど映画の後に外に出てもその手の人達は見当たらず。普通に二人だけで映画観に来てるんだな。意外。