たまの「現在」-1

たまの映画 (http://www.tamanoeiga.com/)

昨日テアトル新宿にてレイトショーを鑑賞。
いやー、当時を知る世代としては、とても面白かった。
バンドブーム期の伝説のバンド「たま」のドキュメント。*1
と言っても当時の映像や音楽は無し。
カメラは淡々と彼らの「現在」を追いつつも、インタビューで当時を淡々と振り返る。
正直、カメラワークが拙い感じの部分は無いではない。というか多い(笑)。それが彼らの不安定感を描く為の演出であったのなら大した物だけど、どうもそういう訳ではなくて単にちょっと下手な感じ(苦笑)。
ただ、被写体である彼らの奏でる音楽や語る言葉の魅力で、それはほぼ打ち消されていたので、カメラワークはご愛嬌という事で。

で、まあ、ドキュメンタリーなので、うだうだ言わずにただ観て各自それぞれに感じとれば良いのだけど、一つだけ私が特にグッと来たのは、今回の映画で出演を承諾しなかった柳原氏の離脱のくだり。
残された三人がそれぞれの思いで柳原氏について語る部分はとても良かった。三人が一人の「不在」を語る事によって、「不在」の一人の存在が浮かび上がってきていた。
実際には柳原氏に出演を断られた苦肉の策なのかもしれないけど、そのお陰でかえって四人の「たま」と三人の「たま」が良く判った気がする。
でもって、やっぱり石川さんはリーダーなんだなぁ。
そして「表現」と言うコトに対して一番貪欲で真面目なのもたぶん石川さんなんだな。
あまりにも真面目すぎて、観客の期待に過剰に応えようとする事が彼等をメジャーに押し上げもし、崩壊させもしたのかもしれない。

観終わってから、ちょっと「表現ってなんなんだろうね? 」とか色々考えてしまった。

で、当然の如く「たま」を知る人には、かなりオススメ。

*1:伝説という言葉を気安く使うのもどうなんだという気もするけど、こういうバンドがメジャーに出れたのは、やっぱりちょっとした伝説なんだろうな。という気がする。他の「伝説のバンド」ってのは大体が「いずれ世に出て当然」という感じなのだけど、「たま」は何かの間違いじゃなきゃメジャーには成らない感じだったもの。当時から。