ヒーローオタクと戦闘少女のバイオレンス・コメディ

キック・アス (http://www.kick-ass.jp/)

シネセゾン渋谷にて鑑賞。
すげー、おもしろーい!!(笑)
正直なところ馬鹿映画を期待していたのだけど、全然馬鹿映画じゃない、大傑作!!
ストーリー云々は予告編でほぼ判ってしまう感じなのだけど、ヒーローオタクのボンクラ学生の感じも、戦う為に生きてるようなイカれた父娘の感じも、お約束のマフィアの感じも、凄く良い。
クエンティン・タランティーノ監督が観たら泣いて喜ぶよな快作。と言うか、タランティーノの「パルプ・フィクション」に強い影響を受けているのはたぶん間違いないと思う。(ただしストーリーは全く別物)
ただ、タランティーノと決定的に違うのは、このスタッフ(誰?)、かなりロリコンだ(笑)。(そういう意味ではリュック・ベッソンの作品にも近い(何故?))
どう見ても子供という感じの少女がデカイ軍用銃を両手に暴れ回る。殺陣も凄ければばガン・アクションも本格的で素晴らしい。たぶん日本だったら、これを出来る子役は…いるかもしれないけど、周囲がやらせないだろう。そういう意味で言えば、「タクシードライバー」のジョディ・フォスターとか「レオン」のナタリー・ポートマンみたいな役割もきっと日本からは出てこないだろうなぁ。(しみじみ)
ともあれ、このヒットガール役のクロエ・グレース・モレッツも日本で人気が出そうな予感。
でも、この映画ってレイティングがR15+だけど、どう見ても15歳未満の子供がバリバリ人を殺しまくるってのは良いんだろうか?(笑)
まあ、この映画を子供に見せたら、翌日学校で銃撃戦になりそうだから、アメリカでこういうレイティングを決めたとしたら、まあ正解。アメリカでは銃ってのは日常と地続きの「現実」だから。*1
あと、これはタランティーノ映画と全く同じように、他の映画からの引用が結構多くて、スタッフ陣の映画愛を感じる。
でもって、この映画。井筒監督が酷評したらしいけど、それもまた納得。井筒監督はヒーロー・オタクや戦闘少女みたいなオタク・カルチャーの文脈も痛みを伴わないバイオレンスも全否定だろうし。リアリズム側から観れば、こんな酷い映画もないかもしれんしね。


でも面白いモノはしょうがない(笑)。


とにかく、正月に派手な映画を一本観たいと言う人(ただしバイオレンス映画が苦手じゃない人)は、この映画を観ればよいと思う。
大オススメ。


…しかし、上映館が少ないのはどうしてか?


*1:とは言え、終盤に出てくる秘密兵器はネットで売ってないと思う(笑)。