密造銃とモデルガン

アメリカ人が作れるなら自分にも作れる」 独学で拳銃から実弾まで手作りして販売、男逮捕…福岡 (http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/970872.html)

事件はまあ、普通の銃器密造の摘発なんだけれども、コメントの数が異常に多い(笑)。
で、その中から気になるコメント

183. Posted by   2007年05月09日 22:54
そういえば昔の金属製モデルガンは実弾が撃てたらしいね、2、3発で銃身いか
れるらしいけどね

いや、それはないぞ(笑)。
その言い分の元ネタはたぶん初期の「あぶない刑事」での話じゃないかな?
改造モデルガンの製作者が自作の改造モデルガンを持って逃亡して、残されていた改造モデルガンを分析したら、2〜3発で銃身吹っ飛ぶことが判明。
でもって、犯人にモデルガンを撃たせないように刑事達が追う。という話だったぞ。
よく覚えてるな、俺(笑)。


実際には、日本最初のモデルガンのMGC社製ワルサーVPが発売された時点からすでに銃身には改造防止の為のインサートが入っていた。
それから、現在に至るまで市販された状態で実弾が撃てるものは無い筈。
ドラマや小説では簡単に改造モデルガンで実弾が撃てるようになってるけど、実際はそんなに簡単じゃない。
実弾を撃てるようにするのは元ニュースの犯人じゃないけど、改造というより製造に近い作業が必要になる。


で、なんでこんなに力説するのかと言えば、モデルガンという代物はとんでもなく簡単に壊れるんだよ(泣)。
モデルガンで使う火薬なんて、薬量0.01g未満しかない玩具用火薬なのに、簡単に銃身後部がポッキリ折れるわ、気がつくとハンマーが折れてるわ、グリップフレームに亀裂が入るわ、シアは欠けるわ、カートリッジは破けるわ、いったいどこをどうすれば実弾が撃てるなんて発想が出るんだ馬鹿ヤローと言いたくなるくらい壊れるんである。*1
御徒町のショップには良くパーツを買いにいったなぁ。モデルガン本体よりも補修パーツに金つかってるぞオレは(苦笑)。
もちろん壊れるのは改造防止の為に亜鉛やアルミ等の柔らかくて脆い金属を使うからなんだけど、それにしても壊れすぎるんである。
ちなみに、モデルガンのパーツが良く壊れるのは、モデルガン黎明期から変わっていない。昔からショップでは普通に補修パーツを売ってた。後年になって安全性の為にヤワになったという訳ではない。


さらに気になるコメント

226. Posted by    2007年05月09日 23:08
拳銃と表記するから問題になるのだよ。
あくまでも「実銃を真似て作った手製のモデルガン」として出品して
弾丸も「手製モデルガン専用の弾丸」
とか書いておけばもう少し生き延びられたはず。
んで、注意事項に「犯罪行為等には決して使用しないで下さい!これは観賞用です!」
とか書いておけばよかったのに。

という言い訳が通るほど日本の警察は甘くない(鉄砲のオモチャに関しては)。
金属製モデルガンとして通すためには、銃に使われている素材の硬度、銃身の閉塞、改造防止の為の構造(銃身を取り外して実銃用と交換できないように)、色(白または黄色)、等の規制がある。プラスチック製の場合はあくまでもプラモデル扱いなので規制はされていない(業界の自主規制は有る)。
エアーソフトガンの場合は撃発機構(ハンマーで弾丸のケツを叩く機構)が存在しないので、モデルガンの規制からは外れるが、「殺傷能力」を有する場合は実銃*2、として免許の取得や警察に銃の登録が必要になる。


どの程度の威力で「殺傷能力が有る」事になるのかは、ついこのあいだまで明確な基準が無かったが現在の規制では 6mmBB弾使用で0.98J(ジュール)以下らしい。(弾の出るオモチャには詳しくないので適当に調べてくれろ)

*1:モデルガンを改造して実弾を撃つなんて話を作る輩はモデルガンを触ったこと無いんじゃないかと思う。

*2:銃刀法で定義される空気銃(狩猟や射撃競技で使われる銃。鉛の弾を撃つ)として規制される